人に安心感や癒しを与える手
私は鍼灸専門学校に入学してすぐに、この業界ではそこそこ有名な鍼灸院でお世話になることになりました。
ベッドが11台あり、
鍼を担当している先生が4人、
手技療法や棒灸を担当するアシスタントが6人で、
診療時間が終わると夜11時過ぎまで毎日怒られながら練習をする古風でなおかつ硬派な治療院でした。
スタートして1週間過ぎた頃でしょうか、
女性にとても人気のある副院長さんが練習をつけてくれて、
私の脚に触れながら
「どうだい、こんな風に触られたら? 機械か大工道具として扱わられているみたいで嫌な感じがするだろう? これならどうだい? 痴漢に触られているみたいで気持ちが悪いだろう? これならどうだい? 人として大切にされているみたいで気持ちが和らぐだろう? 人に触れる時はどんな時でもぞんざいにしてはいけないよ! 手にしっかり意識を向けてから触るようにしなさい。」
と教えてくれました。
あれからもう20数年経ちました。
鍼灸の理論も勉強しましたし、
各種手技療法も学びましたが、
一番大切なことは、やっぱりこのこと、、、人に安心感や癒しを与える手のタッチだと思います。
幸せと癒しのホルモン
NHKの“ためしてガッテン”(2016年6月1日放送)で、
背中などへのタッチケアで「幸せホルモン」とも「癒しホルモン」とも言われるオキシトシンが分泌されることが紹介されました。
http://www9.nhk.or.jp/gatten/articles/20160601/index.html
体の痛みが軽減したり、
認知症の症状が治まったり、
精神的なストレス緩和の効果が認められているとのことです。
マッサージの効果効能として、
コリをほぐすことによる血流の改善や自律神経の安定が主に知られていることですが、
ホルモンレベルでも変化が出ていることが証明されているのです。
相性の良いマッサージ師・鍼灸師で癒しホルモンを。
ただ、、、女性からするどいツッコミが聞こえてきそうです。
「癒しホルモンが出るのは好きな人から触られた時だけでしょ! 嫌なタイプだとゾッとしてしまうわ!」と、、、
「はい! その通りです!」
施術家は患者さんから信頼を得るような手のタッチを追求しなくてはならないし、
一方マッサージを受ける人たちは、厳しい目を持っていただいて良いのです。
「マッサージや鍼灸なんてこんなもんか」と諦めないでください。
相性の良いマッサージ師・鍼灸師を探してください。
お互いにとって良い関係ができれば、“癒しホルモン”は出るのですから。