「意味のイノベーション」のプロセス

意味のイノベーションのプロセス

前回の「意味のイノベーション」を考えるの続きです。

ミラノ工科大学のロベルト・ベルガンティ教授が提唱した「意味のイノベーション」のプロセスをみていきましょう。

意味のイノベーションプロセス

●「私」からはじまる

一般的に何か新しいことをはじめるとき、はじめに考えるのは「人々」です。いわゆる顧客の抱える問題・課題を発見することと言われています。その問題・課題を解決するための方法が新しい商品やサービスとなります。

しかし、意味のイノベーションは人々ではなく「私(自分自身)」に問います。

自分が人々に愛してほしいものはなにか

いわばビジョンを作り出すのです。

治療院・サロンとして、または、一人の治療家として「人々に愛してほしいものか何か」という問いです。

この問いに対する「私」から出る答えは抽象的であり、まだまだ弱く非常にもろいものです。しかし可能性を秘めたものでもあるのです。

●批判精神|ペアで考える

「私」から生まれたビジョンは、自分自身でさえ不明瞭な部分も多くあるでしょう。

このとき必要なことはいっぺんに多くの人たちの前にこのビジョンをさらすのではなく、信頼できる人とペアでこのビジョンを深掘りしていくことです。

ペアになる人の条件は信頼関係があり、似た方向を向いた人であることです。なぜならこの段階でビジョンはまだまだ弱くもろいからです。

否定することは容易にできるのです。

信頼できるペアで、この初期に生まれたビジョンを深堀りし強くしていきます。ここでは次にことが問いとなります。

まだ見えていない意味と弱点は何か?

2人は単なる会話ではなく批判的な議論をしていきます。

ビジョンについての2人の解釈の違いを掘るのです。受け身ではなく、緊張感をもって望むことで生まれたばかりのビジョンを強くしていきます。

1人が挑戦役を演じ、1人が守備役を演じたり、ビジョンの好きなところや懐疑的なところを話し合っていきます。

●衝突と融合|カルテット(4人組)へ

ペアでは似た方向性を共有しました。目的なビジョンの掘り下げと、より強固な解釈を得ることでした。

次のステップはカルテット(4人組)で、異なるビジョンで衝突させます。

ここで衝突しても、先ほどペアで深掘りしたため簡単には壊れません。

一方で衝突は、決してどちらが正しいかという選択をするための衝突ではなく、融合へと向かっていきます。

つまり、異なるビジョンを背後に存在するものを明らかにすることで、なぜビジョンが異なるのかを理解することです。それにより、さらに深い解釈が生まれる可能性があるのです。

この異なる方向を「既存の意味」と言い換えることもできます。既存の意味を変えるために、新しいビジョンを作り出したともいえるからです。

●解釈者へ

解釈者とは専門的な知識を持つ人のことです。

これまで「私」から生み出されたか弱いビジョンを「ペア」で強く探求しました。次に「カルテット」でそのビジョンをもう一度疑い、再構成しました。

解釈者はモノの見方を変えてくれる人です。これまでのプロセスで見逃していた解釈をあらわにしてくれます。

さらに解釈者はこれまで積み重ねてきたビジョンに疑問をぶつけてくれます。

ここでの疑問は「では、最初から解釈者に聞けば良いのでは?」と思われた方もいるでしょう。しかし、初期の「私」の段階ではもろく容易にくずれてしまいます。

しかしプロセスを経て強くなったビジョンであれば、解釈者の考えと比較でき、その違いと対比から学ぶことができるようになっているのです。

ただしこの解釈者を見つけることは時間と注意が必要です。治療のことなのか、ITなのか、店舗運営なのか、どのような視点を取り入れたいかにより選ぶ解釈者が異なるからです。

●意味のイノベーション プロセス

「私」→「ペア」→「カルテット」→「解釈者」のプロセスを経てたビジョンをきっと強く深いものになってるでしょう。

いよいよ「人々」へのこのビジョンを問います。

一般的な問題解決は「人々」からはじまりますが、意味のイノベーションは最後にようやく「人々」へのステップとなります。

●まとめ

意味のイノベーションのプロセスいかがだったでしょうか。

従来の顧客の課題を解決するというイノベーションではなく、顧客への贈り物という考え方で「私」からはじまるイノベーションともいえますね。

もっと詳しく知りたい方はぜひベルガンティ教授の著書「突破するデザイン」をおすすめします。

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