経済産業省のサービス産業 有識者勉強会が発表したNo showレポート、いわゆる無断キャンセルへの対策レポートがあります。
飲食店向けではありますが、店舗運営では類似する部分も大きく非常に参考になるのではないでしょうか。
今回のこのレポート内にある対策をみていきましょう。
●No showとは

まずはNo showについて。
No showとは予約をしていたにも関わらず、その日になっても店に連絡がなく来店しないことをいいます。端的にいえば無断キャンセルです。
言うまでもなく、店舗運営においては非常に多くの存在をもたらします。
●キャンセル料(損害賠償)請求のための必要事項
キャンセル料(損害賠償)を請求するためには、適切なキャンセル料を算定すること、キャンセ ルポリシーを設定すること、予約時にその内容について飲食店側が消費者側に対して明示 することが必要であると考えられる。
No showによるキャンセル料を請求するとき、キャンセル料の構成を説明する責任もあります。
キャンセル料は収益構造等に基づき、適切な算定ができるよう準備しておく必要があります。
●No show防止に向けた対策
題目はNo show防止ですが、その手前としてキャンセル防止にもつながりますね。
レポートにある4つ対策をみていきましょう。
1.予約の再確認(リコンファーム)の徹底
リコンファームは業務負荷が高く、特に人手不足の中小の飲食店では難しい店もありうる。その点、IT予約システムによるSMSのリコンファームならば業務負担も少なく、効果的である。また、予約時に連絡先を確実に把握することが大切だろう。No show 防止の第一歩として期待される取り組みである。
事前に直接電話したり、メールしたりするリコンファームは業務負荷が高いですが、レポートにもあるようにIT予約システムによるリコンファームならば業務負担も少なく効果的にはたらきますね。
2.顧客がキャンセル連絡をしやすい仕組みの整備
顧客の中には、キャンセルしようと思っても連絡がつきにくく、結果として No show になっている場合もあると想定される。そういったケースを防止するため、キャンセル連絡を受けるための体制や仕組みを整備しておくことも不可欠である。リコンファームのSMSにキャンセルボタンを付与する方法もある。
キャンセルする理由は「体調不良」「急な仕事や用事」「家庭の事情」など「本当に行けない」場合が多く、キャンセル自体がなくなることはありません。
キャンセル方法が電話しかない場合、電話するタイミングが営業時間外であったり、なかなか時間がとれずにキャンセルが直前になったりする可能性もあります。
あわせて「次回以降に予約しづらくなる」「迷惑をかけているかもしれない」などの顧客心理も生まれます。
つまり大切なことは、キャンセルを全てなくそうとするのではなく、No showや直前キャンセルを減らすという視点です。
そのためには手段を増やし心理的にもキャンセルしやすい環境をつくることです。
それにより常連を増やしたり、常連が1回のキャンセルのしづらさだけで、離れてしまうことを防げます。
3.キャンセルポリシーやキャンセル料の目安を明示
インターネット上でキャンセルポリシーを明示することに加え、電話予約の場合でも、必要最低限のキャンセルポリシーの説明を行うべきである。IT予約システムを活用した予約内容やキャンセルポリシーの確認SMSを活用する方法も効果的と思われる。
キャンセルポリシーやキャンセル料金を明確化する必要があります。
IT予約システムではウェブ画面上に記載できますが、電話予約の場合、明示することが難しい。ITシステムを使い、電話予約後に確認メールや確認SMSを活用すると効果的ですね。
4.事前決済や預かり金(デポジット)の徴収等の導入
宿泊業が行っているように、No show の抑止力の一つとして事前決済や預かり金の導入を検討していく必要があるだろう。海外のみならず日本においても、クレジットカードの事前登録を求める事例がある。予約の人数や金額から No show が起こった際に一定規模以上の被害の発生が予想される場合、事前決済や預かり金の導入も考えられる。
事前決済やデポジットは、ある種一番効果的な方法であるともいえます。一方、顧客心理として、予約自体のハードルが高まることも考慮する必要がありますね。
また、宿泊施設と異なり、デポジット自体になじみのない業界であることも影響するでしょう。
●まとめ
No showレポートにもあるように、体調不良や急用でキャンセルせざるを得ない場面があるのは事実です。
大切なことはなるべく早くお店に連絡をしていただくこと。
「No show」と「キャンセル」は大きくことなる、さらには同じキャンセルでも「直前キャンセル」と「(事前)キャンセル」には大きな相違があることを理解してもらう努力も必要です。
そのためには言葉や文章で伝えることに加え、キャンセルの手段やキャンセルに対する心理的安全な環境を提供することが重要ですね。