「意味のイノベーション」を考える

意味のイノベーション

「顧客が抱えている問題を発見し解決すること」
これが治療院・サロンに限らずビジネスの基本ですよね。

一方で「意味のイノベーション」という言葉もあります。
こちらは取り組むべき問題自体を再定義することです。

「意味のイノベーション」は、ミラノ工科大学のロベルト・ベルガンティ教授が提唱したイノベーションを起こすための方法で、従来の「問題の発見と解決」とは一線を画す考え方です。

今回はこの「意味のイノベーション」という概念を知ることを通じて、治療院・サロン経営において新しい「何か」を考える気づきになればと考えています。

●問題の発見と解決

問題解決型アプローチ

「意味のイノベーション」を考える前に、まずは従来の顧客が抱えている問題の発見と解決について少しみてみましょう。

新しいサービスやプロダクトを提供するとき、この「問題の発見と解決」は非常に重要な視点です。

たとえば、自分の住む町にどんな整骨院があるかわからないという問題に対して、ポータルサイトはエリアごとに整骨院を一覧表示して情報を提供しています。

では、そもそもこの「どんな整骨院があるかわからない」問題は、どのように発見したのでしょうか。

問題解決型のはじめの一歩は、マーケットを観察するという方法です。

具体的には、定量的なアンケートやユーザーへ定性的なインタビュー内容から現状の問題点を探り当てます。
問題が見つかれば次にその問題を解決する方法を考えます。

さらに新しい商品やサービスを発表後、顧客の行動や売上を含めた結果を計測し改善していくという流れになります。

●意味のイノベーションとは?

意味のイノベーション「ロウソク」

「意味のイノベーション」を知るために、ベルガンティ教授のプレゼンテーション「ロウソク」のお話をします。

昔、電球が発明される前の世界で、ロウソクは光源として私たちの暮らしを照らしていました。
しかし、電球が発明されたことで、光源としての役割を終えました。

理由は普段みなさんが生活の中で実感しているように、ロウソクよりも電球の方が光源として圧倒的に優れているからです。

ロウソクはその役割を終えて、この世からなくなったのでしょうか。
答えは否。

ロウソクは売上をどんどん伸ばしています。30年前のおよそ3倍の消費量です。
ロウソクはその「意味」を変え、存在感をいまだに放っています。

普段どのようなときにロウソクを使いますか?
誕生日会でのケーキが登場するシーンや電気を消してリラックスするシーンではないでしょうか。

つまりロウソクの機能自体は変わらぬまま、光を灯すものから暗闇を味わうものへと意味を変えたのです。

●意味のイノベーションのアプローチ

先ほどみてきた「問題解決」と「意味のイノベーション」は180度異なるアプローチをとります。

問題解決型ははじめに顧客が抱えた問題を発見するところからスタートしますが、「意味のイノベーション」はお客さんをはじめはみません。

まずは、自分自身に問います。

ベルガンディ教授の言葉をかりれば問べき言葉は、

自分が人々に愛してほしいものはなにか?

です。

従来の問題解決型は、文字通り問題を解決するための方法ですが、「意味のイノベーション」は贈り物という考え方です。

私たちはお客さんにどんな贈り物をするか、という自分自身への問いかけからはじまるのです。

そこにあるのはビジョンなのです。

●意味を変えてイノベーションを起こした具体例

薬局

イタリアのアポテカ ナトゥーラ薬局は従来の薬局の意味「薬を受け取るところ」を「健康のアドバイスをもらえるところ」へと変えました。

このコンセプトをもとに、薬剤師とそこを訪れる人が個人的な関係を築けるようにサービスを作り上げていきました。

病院の画像診断(MRIやCATスキャン)

フィリップス社は、病院の画像診断システムがこれまで取り組んできた「高速化や画像の精度」を高めていくという問題解決型のアプローチではなく、そもそも「検査がどのように行われているのか」という視点に変えました。

特に子どもは検査を受ける際に大きな恐怖感を抱いていました。それを解消するために、リラックスできる光源や人形がアニメーションで動いたりするような仕組みを作りました。

その結果、患者はリラックスして検査に望むことができ、身体をむやみに動かすことが減り、結果、スキャン画像がぼやけてしまう率や、子どもへ鎮静する回数も減ったのです。

●まとめ

「意味のイノベーション」いかがでしたでしょうか。従来の問題解決型のアプローチとは異なる視点ですよね。

念のため補足すると、ベルガンティ教授自体も従来の問題解決型を否定しているわけではありません。むしろ、重要な方法であるともいっています。

しかし、足りない点がある。
それが「意味のイノベーション」であり、贈り物というアプローチです。

何かサービスを生み出すときロウソクのように機能自体は変わらぬまま、意味を変えることで新しい価値を世に問うのです。

次回は「意味のイノベーション」を起こすためには、どのように取り組んでいくのかをお伝えしますね。

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