人が行動するのはなぜかという理論は多くありますが、スタンフォード大学のBJフォッグ博士が提唱するフォッグ式消費者行動モデルについて解説します。
ご自身の治療院・サロンに「ずっと通っていた人が徐々にいらっしゃらなくなった」「なかなかリピーターが増えない」などの理由は、人が行動を起こすための要素が足りていないかもしれません。
BJフォッグ博士は人が行動を起こすためには3つの要素が不可欠であると結論づけています。
ご自身の治療院・サロン、または、いらっしゃらなくなった人に当てはめながら見ていきましょう。
● 人が行動する3つの要素
my model looks like this:
B=MAP
Here’s the simplest way to explain it: “Behavior (B) happens when Motivation (M), Ability (A), and a Prompt (P) come together at the same moment.
参考:BJ Fogg, PhD ー Behavior Scientist at Stanford University(英文のみ)
フォッグ式消費者行動モデルはB=MAPという公式で表現されます。
行動する(B)ためには以下の3つの要素が必要。
- モチベーション(M)
- 行動するための能力(A)
- 行動を起こすきっかけ(P)
● モチベーション(動機)と能力
わかりやすくするため極端な例で解説します。
「身体のメンテナンスのために毎日電車で2時間かけて来院する」
この例をモチベーションと能力で分解してみましょう。
モチベーション
「身体のメンテナンスのため」はモチベーションにあたる部分。
身体の不調のためではなく、身体のメンテナンスのためと考えると特別な理由がない限りモチベーションは低いといえます。
能力
「毎日電車で2時間かけて」は能力の部分。
行動(この場合は「来院する」)を起こすためには、毎日・電車で2時間という高い実行能力が必要です。
さらに例文では言及していませんが、毎日5,000円の費用がかかるとすると、さらに高い金銭能力が求められることになります。
この例の場合、低いモチベーションの中で時間的、身体的な高い能力に加えて、金銭的にも高い能力を求められるため、実際の行動までには至らないケースが多くなります。
自分にとって簡単なことに。
例えばこの能力の部分を「月1回」「徒歩5分」「500円」にかえるとどうでしょうか。
求められる能力が一気に低くなりました。
自分に求められる能力が低くなる、つまり自分にとって簡単なことであれば、モチベーションは低くても行動にいたるようになります。
●きっかけ
自分にとって簡単なことであれば、モチベーションは低くても行動できるといいました。
今回の例では「身体のメンテナンスをする」をモチベーション低いと表現しましたが、施術者の皆さんがメンテナンスの重要性を伝えることで、おそらくモチベーションは高まるでしょう。
では、簡単なこと × 高いモチベーションであれば人は行動するでしょうか。
フォッグ式消費者行動モデルによると答えは否です。
人が行動するにはきっかけが必要になるからです。
きっかけは様々です。
・ニュースレターやDMをみて思い出した。
・スーパーで財布を出したとき、たまたま治療院やサロンのショップカードを見た
・以前開いた治療院・サロンのホームページを見た
・SNSで院長の投稿をみて「月1メンテナンスをおすすめします」という言葉を思い出した。
・ふたたび身体に不調を感じた
・別の用事があったときに治療院・サロンの前を通った
などなど何らかのきっかけがあったとき人は行動をします。
逆に言えば、きっかけだけ与えてもモチベーションや能力が備わっていないと人は行動を起こさないともいえます。
投函されたチラシをみても行動を起こさないのは、チラシをみるというきっかけがあっても、チラシの中身に対してモチベーションや能力が備わっていないからです。
●まとめ
BJフォッグ博士が提唱する「フォッグ式消費者行動モデル」は人が行動するためのモデルなので、治療院・サロンに人が行くという文脈においても応用できます。
行動 = モチベーション × 能力 × きっかけ
この式にあてはめて分析してみると、ご自身の治療院やサロンに不足しているものや強みが発見できるかもしれませんね。